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フィルムカメラからプリント処理までの便利なガラクタ箱2

♪ C'est La Vie (by Ace Of Base)
 −−− 無い物は自分で作ってみよう

ガラクタ箱のページが長くなってきましたので、こちらに追加するようにしています。

項目。
ピンホールカメラ用のスポーツファインダーの工作
プリント用テストスケール(テストストライプ)の工作


【ピンホールカメラ用のスポーツファインダーの工作】

スポーツファインダー

私は大判用ピンホールカメラを中判フィルムフォルダーで使えるように改造したもので撮影することもあります。 そのピンホールカメラは単なる暗箱でファインダーも無いので、下図のようにカメラの上部と側面に縦横のテープを張って撮影範囲を 確認しているようにしていました。

視線方向

でもいざ撮影となると、左右上下と視線を移動して撮影範囲を確認する必要があって面倒なんですね。 レンズを使った光学式ファインダーって売っていますが高いうえに6x7判で焦点距離の合った物がありませんので、スポーツファインダー というものを作ってみました(今回のは速写するものではないので、スポーツファインダーと呼んで良いかわかりませんが...)。 スポーツファインダーとは単なる素通しの構造の単純なファインダーで、ピンホールカメラ以外では水中カメラでよく使われている ファインダーなんです。ただ、レンズを使わないために嵩張るのが欠点です。それゆえ、折り畳みができるようにして収納性を よくしました。また50mmと75mmの焦点距離を持つ2つのピンホールカメラ共用にしたく且つ縦横位置でも確認できるように、透明の アクリル板を投影板にして撮影範囲がわかるように作りました。
っで、工作の前に視点距離と投影範囲を下図を用いて簡単に説明します。

視線と投影範囲

単なる透視ファインダーなので、視点距離と撮影範囲だけの数値で事足ります。等倍で作る場合には、視点距離 は「レンズの焦点距離」をそのまま割り当てます(今回ピンホールカメラなのでレンズはありませんが...)。そして、撮影範囲の 縦横のサイズは「フィルムの露光サイズ」をそのまま割り当てます。フィルムの露光サイズとは以下のようになります。

フィルムサイズ 縦 x 横
135フィルム 24 x 36mm
120フィルム645版 56 x 41.5mm
120フィルム66版 56 x 56mm
120フィルム67版 56 x 70mm

(レンズの焦点距離=視点距離)と(フィルムサイズ=撮影範囲)がわかっていれば作れるわけです。
ここまで等倍で説明しておりますが、コンパクトに作りたいとか大きくしたいとか思った時には、視点距離と撮影範囲の 縦横サイズの3つの数値を同比率で掛ければ良いだけです。最初の写真の2つのファインダーは、同じカメラ用に等倍サイズと 2倍サイズのスポーツファインダーを作ったものです。2倍にすると投影板の面積は4倍になりますので、思った以上に大きく 感じるかもしれません。(別に整数倍である必要はありません)

下記に用品や作成方法を記述しておりますが、最初の写真に2つファインダーが写っていることから少なからず 失敗もしております。その中でも一番の失敗とは、自分の老眼の進み具合を把握していなかったことです。最初は小さな等倍の ファインダーを作ったのですが、近くが見え辛い老眼が入った私にとっては、投影板の境界線がボケすぎて辛いのです。そこで 追加として、視点距離2倍のファインダーを作ったわけです(ちょっと大きいですけど)。スポーツファインダーを参考して作成 される場合は私と同じ失敗をしないために、まず自分の眼に合った視点距離の倍率を考えてから作成されることをお勧めします。 また他の失敗もしているので、作られる方は一通り眼を通されて改善箇所の確認をした方が良いかと思います。
でははじめましょう。

用品と道具
・アクリル板
 厚さ2mmのアクリル板で、透明のものと黒色のものを使用します。
・アクリルカッターとやすり
 アクリルカッターはアクリル板を切るためのカッターです。やすりは100番手の紙やすりと細めの金属やすりを使用しました。
・アクリル塗料と筆とパレット
 透明アクリル板に撮影範囲などを記すために使用します。
・バネ蝶番あるいは蝶番とマグネットキャッチ
 ほぼ90度を保つようになったバネ蝶番を使用した場合と、蝶番と戸棚で使うマグネットキャッチを使用した場合との2通りの方法を 試しました。
・アクリル樹脂用接着剤と多用途用接着剤
 アクリル同士を接着する接着剤と、アクリルとその他材質とを接着する接着剤とを使い分けました。それぞれ、アクリサンデーと セメダインスーパーXGという商品名のものです。
・ビニールテープ、フエルトのクッション、はさみ、定規、カッティングマットなど

作成手順
切って・塗って・貼り付けるだけです。設計図というほどのものでは無いですが、 こちらのPDF文書をダウンロードして参考ください。 いくつか小さな部品は省いておりますので、臨機応変に対応くださいませ。

1。アクリル板を切ってカット面をやすりで滑らかにする
アクリルカッターってアクリル板を切るのではなく、削って割るということをします。(定規に沿ってカッターを20回ほど引いてから割る ということをします)
カットした後はそのままでも良いのですが、やすりでカット面を滑らかにできる時間があればやった方が良いですね。また一部の伸縮部に よっては下記のような形状にするために金属やすりで薄くした部品もあります。

アクリル削る

2。撮影範囲を塗装する
覗き窓と撮影範囲の透明アクリル板に塗装します。正直ここが一番面倒で時間が掛かります。
プリントアウトした設計図の上に透明のアクリル板を載せて、マスキング位置を確認してテープを張ってアクリル塗料で塗るわけです。 私は、マスキングテープでは浸透するかもっと思ったので、ビニールテープでマスクした後で筆で塗りました。延々と「マスクする> 塗る>乾かす>マスクを剥がす」を繰り返すわけです。

アクリル塗る

3。覗き窓を作る
全てアクリルなので、アクリル樹脂用接着剤で接着します。
最初の等倍ファインダーでは透明板と黒色板をそのまま接着したのですが、それだと折り畳むとバネ蝶番の関係で投影板と当たることが わかり急遽上端をカットしました。まぁ視線がこの辺にあれば良いだけなので気にしないのですが失敗は失敗です。そこで2倍ファインダー の時には閂(かんぬき)構造で伸縮できるように改善しました。でも2倍ファインダーの時はバネ蝶番ではなく普通の蝶番だったので、 別に伸縮せずとも折り畳みできたんですよね...なにやってんだか。

覗き窓作る

4。土台に覗き窓と投影板を接着する
2パターンで作りました。1つはバネ蝶番だけで、もう1つは蝶番とマグネットキャッチを使っています。どちらも蝶番が金属なのでアクリル との接着が不安であれば、アクリルで出来た蝶番も売っていますのでそれを使用ください(アクリルのバネ蝶番は無いけれど)。蝶番の下 には何枚かのアクリルを接着して少し嵩上げしています。アクリルとその他素材の接着には多用途用接着剤をご使用ください。っでマグネ ットキャッチですが、2倍ファインダーの投影板は結構大きくて重いせいか1つのマグネットキャッチでは磁力が足りなかったので急遽2つ 追加しました。そして、同様に覗き窓の方も土台に接着します。
2パターン作ったわけですが、バネ蝶番よりも蝶番とマグネットキャッチの方が使い勝手が良いような気がします。

蝶番接着

5。その他
ピンホールカメラの上に置いて使用するわけですが、ピンホールカメラに改造で付け足した金具やマジックテープがありますので、 これらと当たらないようにスポーツファインダーの裏面にフエルトのクッション足をつけました。

フエルトクッション

6。完成です
蝶番を使用してますので、折り畳めば下図のように薄くなって携帯性も良いです。
さっそくピンホールカメラの上に置いて使ってみると、広角の度合いが大きいために覗き窓は逆に邪魔になるように感じます。標準 〜望遠でしたら覗き窓が要るでしょうけど、広角であれば眼の位置さえわかるようにすれば覗き窓は無くても良かったように思います。
また、撮影対象物が数メートル程度の近接時では、ファインダーで確認した構図と実際にフィルムに写される範囲との視差(パララックス) が生じます(外付けファインダーなのであたり前ですが...)。それが気になるようでしたら、ファインダーで構図確認後に三脚の エレベーター機能で少し上げることで視差が気にならなくなるかと思います。
以上作成したのは置くだけのスポーツファインダーですが、135フィルムカメラ用に作ってホットシューにスポーツファインダーを 付けたいと思ったときには、2mmアクリル板を少し削って薄くすればホットシューに入るように工作できるかと思います。下図は別の 自作ファインダーですが、土台はアクリル板でホットシューに合うように作ってます。
スポーツファインダーの投影板は別に透明アクリル板ではなくワイヤーで投影範囲を作っても良いですし、原理が簡単ですので必要な時 にいろいろ工夫して作ってくださいませ。

ファインダー折り畳み

魚眼ファインダー


【プリント用テストスケール(テストストライプ)の工作】

テストスケール(テストストライプ)

私は暗室プリントにおいて、露光時間を決める際はまずテストプリントを行ってから本番プリントという過程で 行いますが、そのテストプリント時にはテストスケールを使うことが多いです。一発で露光時間 を決められる方には不要なものなのかもしれませんが、少なくとも私にはテストスケールは必要な道具なのです。っでそのテストスケール で私が持っているものは下図のシート状の扇形モデルのものとハンザ製の同心円モデルのものとがあります。ただ実際に使っているのは 同心円モデルの方ばかりで、それはテストスケールの諧調が等間隔で繋がっているために露光時間が読み取りやすいというのが一番の理由 なんです。そのよく使っているハンザ製の同心円モデルのテストスケールは気に入ってはいても、残念ながら生産中止で新たに手に入れる ことはできません。手元に1個あるので問題ないですが、予備用にあっても良いかなと思って同心円モデルのような諧調が等間隔で繋がって いるテストスケールを作ってみたわけです。

各種テストスケール

ハンザ製の同心円モデルは指で弾いて回転させることで、露光中の長い時間まで回転できるように作られています。 最初はアクリル板で作ろうかとも思ったのですが、回転をバランス良く作るには私の技量では全然足らないと確信しましたので、他の 方法で検討することにしました。っで結局は、扇形モデルのようにシートにプリントアウトすれば、事足りるんじゃないかと思ったのです。 工作というほどのものでもなくて技量も必要いりません。
最初はそのシートをPCからOHPフィルムにプリントしようと思ったのですが、よく考えるとOHPフィルムって過去の経験で黒が黒く印刷され ない上にムラがかなり出るんですよね。そのOHPから作ったテストスケールを使っても役に立たないのは明白です。そこで回路基盤転写用 フィルムであれば大丈夫かなと思っていたのですが、よく考えるとデジタルネガを作るフィルムであれば引伸機の露光を使う前提で ムラも出ないはずなので、それで試してみることにしました。回路基盤転写用フィルムより安いですし...それでもちょっと高いです。 心配だったのは私の持っている安物インクジェットプリンタでも大丈夫かどうかで、それは結果要らぬ心配でした。

ちなみにデジタルネガというのは、デジタルデータをPCから透明フィルムにプリンタで出力してそのフィルムを 銀塩の印画紙に密着プリントするというデジタルと銀塩とを融合した方法で使うネガフィルムで、その時にネガでプリントアウトした 透明フィルムのことをデジタルネガと呼んでいます。私自身がその用途で使うことはないと思いますが、デジタルカメラで銀塩プリント したい場合や、密着プリントせざるを得ないプリント手法(サイアノプリントなど)を使う場合や、同品質で大量にプリントされたい場合 (覆い焼きなどで同じプリントが作り難いとき)などに使用されているかと思います。

話がそれましたが、注意点があります。
PCで作ってプリントアウトしたものをテストスケールとするわけですが、PC上のソフトで作った濃度値とプリントアウトされた濃度値は 必ずしも一致しないということなんです。デジタルネガ用フィルムの透過度も少し関係ありますが、それよりもPCとプリンタによる濃度値の 違いが大きく関わってきます。それらを一致できるようなICCプロファイルを持っていれば良いんでしょうけど、それに対応したソフトと プリンタは残念ながら持っていません。
私のような人も多いでしょうから、テストスケールを作成する前には濃度値を合わせるためのキャリブレーション作業が必要となるわけです。 作業的には、細かいグラデーションを作成しプリントアウトして、暗室にて印画紙に焼いて数値を求めるということをしました。銀塩の 印画紙は線形に濃度が上がるわけではないので焼くのが一番ですからね。
(それを考えると、シート状ではないハンザ製の同心円モデルのテストスケールはよく考えて作られていますね)

っで、作るテストスケールはハガキサイズぐらいが使いやすいので、購入したデジタルネガ用フィルムを4分割して ついでにいくつかのパターンを追加しました。また表示数値は露光時間の倍数にし、例えば10秒露光で 0.5 のところが丁度良ければ、 10 x 0.5 = 5.0秒が適正露光時間となるようにしました。その方が個人的に使いやすいので...
前置きがやたらと長くなりましたが、まぁとにかく始めましょう。

用品と道具
・デジタルネガ用フィルム
 ピクトリコのTPS100N-LTRというレターサイズ(A4に近いサイズ)で20枚入りの製品を使用しました(少し乳白色している)。裏表があるので プリント時には間違わないでくださいね。
・PCとインクジェットプリンタ
 フィルムがインクジェット仕様ですので、インクジェットプリンタが必要です。
・カッター、定規、カッティングマット、プラ板、両面テープ
 フィルムをカットする道具や、持ち手を作るためにプラ板と両面テープを使用しました。
・マットボード、リネンテープ、無酸性紙、のり
 単に作ったテストスケールを収納するためのものです。

作成手順
PC上で作ってプリントアウトするだけなのですが、上記に書いているように濃度値を合わせるキャリブレーション作業がありますので、 二項に分けて記述しています。

【キャリブレーション作業手順(前処理)】
私がドローソフトで作ったキャリブレーションパターンのPDF文書です。 六切り(8x10inch)で行うサイズにしております。

1。PC上のドローソフトなどでキャリブレーションパターンを作りプリントアウトする
キャリブレーションパターンをPC上で描画します。その際には塗り潰しの色が重要で、ソフト上で塗り潰し色設定をRGBからHSVに変更して、 H=0,S=0として明度であるVの値を変化させることで塗り潰し濃度を決めるようにします。キャリブレーション用であるので、V=100%(1.0) 〜0%(0.0)までを5%毎に変化させたグラデーションにしました。
できましたらプリンタに合った設定でデジタルネガ用フィルムにプリントアウトして、カッターで適当なサイズにカットします。

キャリブレーションパターン

2。暗室で印画紙に焼きます
皆さんが手馴れた暗室で作業するのですが、その際にキャリブレーションパターンと手作業で段階露光したものを暗室プリントするわけ です。私は下図のような感じで、1枚にプリントしました。テストスケールでは濃度が80%(0.8)〜10%(0.1)に変化させた9段階のものを 作りますので、その9段階分を段階露光しています。
具体的に私が行った作業ですと、よく使う2号の状態にして下半分を覆って上半分のキャリブレーションパターンを30秒露光してから、 上半分を覆って下半分は作りたい9段階分の濃度のパーセンテージに合った秒数を露光します。80%(0.8)のところであれば24秒露光される ようにするわけです。印画紙同じ箇所を複数回重複露光する方法で行う場合には、累計として正しい秒数を与えるようにしてください。
これでキャリブレーションパターンと手作業の9段階の露光が1枚にプリント出来たわけです。
その後はいつもの現像処理などをして仕上げます。

キャリブレーション作業

キャリブレーションプリント

3。キャリブレーションを行う
印画紙のキャリブレーションパターンと実際の段階露光したものとで数値を求めます。簡単に段階露光したものに合うキャリブレーション パターンの数値を割り当てても良いかと思います。私は一旦スキャナに読み込ませて濃度値を求めると以下のようになりました。

修正前の濃度値 修正後の濃度値
80% (0.80) 97%
65% (0.65) 79%
50% (0.50) 56%
40% (0.40) 44%
30% (0.30) 31%
25% (0.25) 26%
20% (0.20) 20%
15% (0.15) 15%
10% (0.10) 8%

っと私の環境下ではなるようですね。ここで求まった修正後の濃度値を、テストスケールを作るときのソフト上の 明度のV値として割り当てるようにします。

【テストスケール作成手順】
私がドローソフトで作ったテストスケールは以下になります。
キャリブレーション前のテストスケールのPDF文書
キャリブレーション後のテストスケールのPDF文書(あくまで私の環境下において)
キャリブレーションの前後ではだいぶんと濃さが異なりますでしょう。ですのでこれら文書は、自分の環境に合ったようなパターンを作る 際の参考程度とでも思ってください。

1。PC上のドローソフトなどでパターンを作りプリントアウトする
自分がプリントの際に使いやすいパターンを描画します。その際の塗り潰しは上記と同様にRGBからHSVに変更して、H=0,S=0として明度で あるVの値をキャリブレーション作業で求めた修正後の濃度値を割り当てるようにします。今回はV=80%〜10%まで変化させた グラデーションにしました。
とりあえず出来ましたら、プリンタに合った設定でデジタルネガ用フィルムにプリントアウトします。

テストプリント印刷

2。フィルムを4分割にカットし持ち手を付ける
A4サイズに近いレターサイズのフィルムなので、カッターで4分割しプラ板で持ち手を作りました。暗室で手袋をはめたままではシート状の ものは置いたり取り除く時に苦労するために持ち手をつけたのです。

持ち手

3。収納用の窓無しブックマットを作る
単に他で使ったカット後のミュージアムボードが余っているので、テストスケールの収納用として作っただけなんです。ミュージアム ボードにピュアガードを無酸性のりで接着してリネンテープで留めました。こんなとこで凝っても仕方がないのですが...
フィルムなので折れないように収納できるようであれば、どのような方法でも良いんですよ。

収納用ブックマット

4。完成です
どうでしょうか。最初のキャリブレーション作業が少し面倒ですけど、工作というほどの作業ではないと思います。今回使用したデジタル ネガ用フィルムは思った以上にムラが無く諧調に優れていることにビックリしました。今後はデジタルネガ用フィルムは、印画紙で写真 ハガキを作るときにメッセージなどを入れる時のマスクとして使用できそうです。
テストスケールは既に日本では販売されていない道具だと思いますので、便利そうだなぁっと思ったらぜひテストスケールを作ってみて くださいませ。

テストプリント結果