フィルム現像の用品および薬品 (モノクロ・カラー)
♪ Sisters Are Doin' It For Themselves (by Eurythmics)
--- 最初にあなたが像を見ることができる
昔、撮影したフィルムをカメラ店へ持っていって、現像プリントが出来上がるまでの数日間はどのように
写っているかワクワクしていた。思った以上に良く写っているということは稀で、たいがい想像よりも劣る
プリントで少しがっかりした気分ということが多かった。もちろんカメラ店の現像プリントが悪いということ
ではなく、たんに私の撮影が未熟であった以外に原因がないのが少し悲しい。
カメラ店の現像プリントというのは、現像されたフィルムと手札サイズ印画紙に焼かれた写真をセットで頼む
ことが多かったんじゃないかと思う。焼き増ししたいときにはそのフィルムを持っていって何番目のコマを何枚
プリントが要るとお願いしていた。
ここではそのフィルムの現像の仕方を書いていこうと思う。
フィルムの現像だけなら暗室も要らず手軽にはじめられるし、小さいけれどフィルム現像で写った像を見ると
いまだにちょっと感動してしまう。
現像されたフィルムは、
・フィルムの読めるスキャナを使ってPCに取り込む
・プリントしたいフィルムをカメラ店に持っていってプリントしてもらう
・暗室で自分で印画紙にプリントしてしまう
など、好きなように楽しんでください。でも出来ることなら暗室プリントを行う前哨戦としてフィルム現像
をしていただきたいなっと思っている。
【モノクロ・カラーフィルム共に使う用品】
フィルム現像で必要なものを列挙しますと以下のようになります。
特殊な用品もありますが、そうではない一般的な
用品もあるのがわかるかと思います。何が言いたいかといいますと、特殊な用品は量販店の現像用品コーナーや
通販で買うことになりますが、一般的な用品は100円均一ショップやキッチン用品を販売しているところで買う方が
お得な価格で手に入れることができます。無駄な出費を抑えてその分フィルムを買ってドンドン撮るようにしましょう。
・フィルムピッカー(別名 舌出し)/ダークバック/ハサミ/白手袋
フィルムピッカーは、135フィルムで撮った後のフィルムが全てパトローネに収納されている場合にフィルム端を引き出す
ために使用します。栓抜きのようなタイプもありますが、写真のような引張り出すタイプの方が明るいところで
出来るので便利です。120フィルムでは不要です。
ダークバッグは小さな暗室状態を作るために使用ます。長袖ポロシャツぐらいの大きさなので嵩張りません。また
アタッシェケース型のものも過去に販売されていました。
あと手袋やハサミも用意します。
・現像タンク/リール
フィルム現像のメインの用品です。
用品の説明が長くなりますので、詳しくはこちらの現像タンクとリールのページを参照ください。
・深バット/メスカップ/メスシリンダー/攪拌棒
深バットは温度調整のために必要です。キッチン用で充分ですが、温度調整が必要な現像・停止・定着などのメスカップ分が
入るものを選んでください。
メスカップは各処理分用意して現像タンク容量より容量の多い物を選びます。また間違いないようにラベルも貼っておきましょう。
メスシリンダーは少量の計測用に用意していたほうがいいでしょう。
攪拌棒は何でも良いです...割り箸でもいいですよ。
・ヒーターおよびサーモスタット/冷凍庫用保冷剤/水温計/タイマー
フィルム現像では現像条件を一定にするということが大事です。季節の温度変化でも安定した現像を行うために
現像液などの水温を一定に出来るようにします。水温を一定にしない代わりに現像時間の長短で調整することもできますが、
仕上がったフィルムのコントラストが変化してしまいますのであまりお勧めいたしません。
普通の現像温度は、モノクロフィルム 20℃、カラーフィルム 30/35℃が標準でしょう。
水温が低いときには熱帯魚用のヒーターとサーモスタットで温め、水温が高いときには保冷剤で冷やします。
サーモスタットは余裕のある温度に設定できるものを選びます。また、適用容量が少ないものでは複数個必要になるかもしれません。
水温計は現像液の入ったメスカップ内で計るようにします。昔からある水銀やアルコールが入った棒状の水温計でもいいですが、
キッチン用のデジタル水温計が便利です。
またタイマーも秒数を計れるものであれば腕時計のストップウォッチでもキッチンタイマーでも構いません。
・貯蔵用ポリビン/フィルムクリップ/(水洗用ホース)/(スポンジ)/フィルム用アルバム
貯蔵用ポリビンは使用した溶液を再利用する際に溶液を保存するために使用します。
モノクロネガフィルムなら現像液用と定着液用の2つ、カラーネガフィルムなら発色現像液用と漂白液用と定着液用の3つ。
(カラーネガフィルムの溶液が発色現像液と漂白定着液のタイプなら2つ)
もちろん、溶液ごとにラベルを貼って別々のポリビンに保存してください。溶液の劣化をさせないためには溶液を口一杯まで注いで
空気が入らないように保存するようにしましょう。それを考えるとポリビンを使用するより凹ますことができるペットボトルなどで
代用した方が溶液量の関係で良いかも知れません。
溶液の保存方法に関しては薬品調合についてページの(溶液の保存方法)を参照くださいませ。
フィルムクリップは現像後のフィルムを乾かすためにフィルムを吊るすために使用します。
水洗用ホースは水道蛇口から水を注ぐために使います。スポンジは最終工程でフィルムの水滴を拭くために使用します。
フィルム用アルバムは使用するフィルムサイズに合った物を選ぶようにしてください。通常乾燥後のフィルムを
135フィルムだと6枚毎に切って収納できるようになっています。120フィルムだと645判だと4枚・66判や67判だと
3枚毎に切って収納できるようになっています。
【モノクロフィルムに使う薬品】
現像液と定着液は規定本数近くなるまで使いまわすことが出来ます。他は基本使い捨て。
・現像液
D76というコダック処方が一番有名。
単薬を組み合わせての自家調合で色々な処方をしている人も多い。
市販現像液には粉末タイプと液体タイプが売られており、溶解してすぐに使いたい人は液体タイプの方が良いと思う。
粉末タイプは溶解して1晩経ったものを使う方が安定した現像が出来る。
・停止液
酢酸を1~3%に希釈したものを溶液として使用する場合が多い。
酢酸90%溶液なら1リットルあたり20ccぐらいで
いいでしょう。
ちなみに私はフィルム現像では酢酸を使用せずに単なる水を使用している。
・定着液
市販定着液には粉末タイプと液体タイプが売られています。
製品群の各定着時間を見ると結構差がありますので、
迅速に処理できるタイプにするかどうかも検討ください。
また定着液には、硬膜タイプと非硬膜タイプのものがあります。
・(水洗促進剤)
定着作業での不要成分を効率よく排出できます。
これを使用することで水洗時間の短縮にもなりますし価格も
高いものではありませんので積極的に使いましょう。
不要成分が溶液に出てきますので基本使い捨てにします。
・(水切り剤)
フィルムの乾燥での水滴によるムラが起こるのを抑える薬品です。最後の工程で使用します。
使用するしないは人によって異なるかと思います。
【カラーフィルムに使う薬品】
発色現像液と漂白液と定着液は規定本数近くなるまで使いまわすことが出来ます。
以前私は自家調合しておりましたが単薬の入手が困難になったため、各工程の調合済み処理液がセットになった
カラーフィルム現像キットを使用しております。(それに関してはDiary(2018.07.24)に記述)
その調合済み処理液の入手の仕方は下記があります。(2020.04現在)
1) カラーネガフィルム用現像キットを購入
下記の各処理液(水切り剤以外)をセットにして販売しているもので、主に個人使用を目的とした商品で溶液量が1~2リットルの
ものです。海外では溶液タイプと粉末タイプが売られていますが、薬品規制により溶液タイプは日本から購入は難しくなりました。ただ
粉末タイプは海外通販で購入可能で、また日本でもその粉末タイプを通販しているところがあります。
粉末タイプでは、ユニカラー製(Unicolor),シネスチル製(Cinestill),テテナール製(Tetenal)の商品があります。
だいたい1リットル当たり8~10本のフィルム処理が可能です。
2) ミニラボ用のカラーネガフィルム用現像液,漂白液,定着液を購入
街の写真屋さんなどでフィルム現像プロセッサの機器での使用を目的とした溶液タイプの商品です。溶液量が10リットル以上で売って
いますので、大量にフィルムを消費する人以外には不向きかと思います。キットではないので、それぞれ発色現像液,漂白液,定着液を
購入する必要があります。溶液量が多い反面、リットル当たりの単価は安いです。
また国内通販で購入可能で、普通に個人にも販売してくれます。リンクのページに販売店も記して
ますので参考にしてください。
下記の各工程処理液の内、水切り剤は量販店で購入可能です。
各工程での処理液
・発色現像液
C41というコダック処方が基本になっている。
単薬を使った自家調合は主要薬品(CD-4)の入手が難しくなったため、調合済み溶液を使用している人が多い。
・漂白液/定着液
カラーフィルム現像キットにはこれら薬品も含まれています。
漂白工程と定着工程とを別々で行う場合と、漂白定着液となった混合液1回で済ます場合とがあります。
・(安定剤)
カラーフィルム現像キットに含まれていれば使用してもいいかと思います。私は含まれていても使用していないです。
・(水切り剤)
フィルムの乾燥での水滴によるムラが起こるのを抑える薬品です。最後の工程で使用します。
使用するしないは人によって異なるかと思います。