フィルム現像タンクとリールの種類について
♪ The Miracle Of Love (by Eurythmics)
--- あなたはステンレス派?それともプラスチック派?
現像タンクは筒状という共通点はありますが、様々なタイプがあります。
昔に比べて種類は減りましたが、選択すべきポイントは幾つかありますのでフィルムを現像タンクにセットする方法と
あわせて書いていきます。
【現像タンクとリール】
・材質について
現像タンクはステンレス製とプラスチック製があります。
またリールも同じくステンレス製とプラスチック製があります。
現像タンクがステンレス製であればリールもステンレス製で、現像タンクがプラスチック製であればリールもプラスチック製です。
現像タンクとリールは同じメーカーの同じシリーズのものを選んでください。(異なるメーカーでも大丈夫な場合も多々ありますが...)
主にステンレス製とプラスチック製の違いは材質以外に、フィルムの巻き取り方や液量あるいは使用フィルムで
異なることが多いです。現像タンクを選ぶときに下記項目で選別して最終的に材質を考えれば良いんじゃないかと思います。
・リールで使用できるフィルムのサイズ
135フィルム用・120フィルム用・兼用タイプとあります。
ステンレス製は各フィルムサイズごとに固定で、135フィルム用あるいは120フィルム用を選んで現像タンクの最大処理本数分が必要です。
プラスチック製はリールを伸縮して135フィルム・120フィルムどちらでも行える兼用タイプが多いです。こちらも現像タンクの最大処理本数分
が必要です。
・リールへのフィルムの巻き方
リールの巻き方には2種類あります。
1) リール中心からフィルムを糸巻きするように手を使って巻いていく方法
2) リール外端にフィルム端をセットしてリールを両互いを交互に運動させると自動的に巻き取っていく方法
どちらの方法も一長一短あり優越はつけにくいのですが、1)の方法は特に最初の慣れが必要になります。
一般的に、ステンレス製は1)、プラスチック製は2)が多いです。
・使用液量
これは意外に見過ごされやすい項目ですが、市販粉末の現像液や定着液を使用する人は注意したい項目です。
1リットル現像液を溶解したはいいが現像タンクの規定容量が1.2リットルってことがあると、フィルムが上端(下端)が上手く現像され
ないことになります。そういった場合はあらかじめ2リットル溶液を作って1.2リットル注ぐようにしてください。
プラスチック製のほうがステンレス製にくらべて規定容量が多い傾向にあります。
・処理本数と現像タンク長
1回の現像で何本処理したいですか?
135フィルムなら2~4本・120フィルムなら1~2本ってところが一番多いんじゃないでしょうか。
現像タンク長とリール種(135/120)によって1度に処理できる本数が決まります。
もちろん1度に処理できる本数が多いほど現像タンクが長くなっていきます。
ただ、あまりに長いと溶液を注ぐ時間が長く掛かることによるデメリットも考慮ください。
ステンレス製は135フィルム2本と120フィルム1本が同じ長さが多く、プラスチック製は135フィルム1.5本と120フィルム1本が
同じ長さが多いです(例外はあります)。例えばステンレス製の135フィルム4本処理できる現像タンクは、120フィルムですと
2本処理できる場合が多いです。135フィルムと120フィルムの両方を使う人はそのあたりの処理本数も考慮しましょう。
・攪拌方法
基本の攪拌方法は、現像タンクの両端を手でしっかり支えて上下をひっくり返し戻す1往復する作業をします。
これを1分毎に10秒間に4往復攪拌するなどといったことを繰り返します。
人によってあるいはフィルムと現像液の組み合わせによって様々な攪拌をしていると思います。
ちなみに私が普段行っている手順を書きますと、
1) 現像タンクに現像液(定着液など)をすばやく注ぎ、タンク底を台などで叩いてフィルムに付いた泡を逃します
2) 30秒間連続で約12往復で上記攪拌を行います
3) 50秒間静止後、10秒間で4往復で上記攪拌を行います
4) 規定時間まで3)を繰り返し、規定時間になったら溶液を排出します
という手順を行っています。
あとプラスチック製では、タンクごと攪拌させるだけでなくタンクに付いたつまみを回転させて攪拌できるものもあります。
【現像タンクへのフィルムセットの仕方】
まず注意点ですが、リールにフィルムを巻く作業は慣れが必要です。
ダークバッグ内の眼で見えないところで作業しますので、手探りでその状態でリールに巻けるようになることが必須です。
まずは1本の未撮影のフィルムを使って何度もリールに巻く練習をしてください。そして眼を瞑っても失敗しなくなるまで練習しましょう。
本番で失敗するとせっかく努力して撮ったフィルムが無駄になってしまいます。特に120フィルムは大きいので、リールにセットするときは
フィルムに折れが出ないように丁寧に扱いましょう。
人によってやり方は少し違うかと思いますが、手順を書いていきます。
●用意するもの
撮影済みフィルム
フィルムピッカー(135フィルム時)
ハサミ(135フィルム時)
白手袋(120フィルム時)
ダークバッグ
現像タンクとリール
●135フィルム時
1) フィルム端が出ていないときはフィルムピッカーでフィルム端が出るように行う(処理本数分)
2) フィルム端を揃えるためにハサミで切る(処理本数分)
3) ダークバッグ内にフィルム・現像タンクとリール群・ハサミを入れてダークバッグを閉める
注。下記4~7まではダークバッグ内の暗黒状態で行います
4) リールのそれぞれの巻き取り方でフィルムを最後まで巻いていき、フィルム終端をハサミで切り取る
5) 現像タンクに入れる
6) 処理本数分のリールへのセットを4)から繰り返す
現像タンクの処理本数よりも少ないフィルム本数を現像したい時でも、空リールを入れてリール数は規定数入れるようにします
7) 蓋を閉めてダークバッグを開けます
●120フィルム時
1) ダークバッグ内にフィルム・現像タンクとリール群・白手袋を入れてダークバッグを閉める
注。下記2~6まではダークバッグ内の暗黒状態で行います
2) フィルムの巻き止めているシールを剥がし、白手袋をはめて巻取り終端テープを裏紙から外しシールは折り返す
巻きがきつい場合には、さらにもう一度巻き戻す(シールのある端が中心になる)とリールに巻き取りやすくなります
3) リールのそれぞれの巻き取り方でフィルムを巻いていく
4) 現像タンクに入れる
5) 処理本数分2)から繰り返す
現像タンクの処理本数よりも少ないフィルム本数を現像したい時でも、空リールを入れてリール数は規定数入れるようにしましょう
6) 蓋を閉めてダークバッグを開けます
※ムラになりにくい現像タンクとは?
青空一杯を写したときのように変化の少ない単一の色調を写した際に、フィルムに現像ムラがおこることがあります。
それが、たまたまその1本だけなのかあるいは常時ムラが起こっていたのかを確認ください。
ムラの原因は様々あるかと思いますが、その中で現像タンクと攪拌方法による原因があるかもしれません。
攪拌方法では攪拌回数を増やすほどムラが起こりにくいように感じます。ただその分現像時間を短縮する必要があるかもしれません。
現像タンクの形状では、リールの中心に注ぐ液が下へ通る管が付いているものはムラになりにくいです。
Masukoステンレス現像タンク(既に製造中止)やプラスチック製現像タンクは、リール中心の管が付いているせいかムラが出ることが
格段に少ないかと思います。(あくまで私が感じたことなのですが)
他に溶液を注ぐ現像タンクの口はある程度大きい方が注入時間が少なくすむのでムラは出にくくなります。
またフィルムは135フィルムよりも120フィルムを処理したときにムラが目立ってしまいますね。