引伸機について
♪ Freeway Of Love (by Aretha Franklin)
--- 何は無くとも引伸機
フィルム現像は出来るようになって、次は自家プリントをするために引伸機を買おうと思うときに少し迷うんですよね。
結構な値段はするし場所をとる大きな機械ですから、当然といえば当然なんですけど...
場所の方はどうしようもないので頑張って確保してくださいとしか言えないわけですが、引伸機は色々なメーカーから
各種サイズ別で新品が入手可能です。
ただ、新品は高いんですよね...そういった場合は中古を選択するということも考えて良いんじゃないかと思います。
中古の場合の注意することとしては、きちんと稼動することはもちろんのこと、引伸機ごとに異なるネガキャリアが
揃っているかどうかもポイントです。現行機種であればネガキャリアだけ追加で新品購入すれば良いのですが、
そうでなければ入手に苦労するんじゃ無いかと思います。
また中古の場合、定電圧トランスが必須な機種ではきちんと付属しているかもご確認ください。
忘れやすいですが、交換用ランプも引伸機専用になっているものが多いですので、交換用ランプの新品が入手可能かも
ご確認ください。
【引伸機本体とトランス】
・大きさと重さ
取扱いフィルムの最大値で、大きさと重さが変わるといってもいいんじゃないかと思います。
・135フィルムまで扱うもの
・120フィルムまで扱うもの
・4x5フィルムまで扱うもの
の3つの大きさで分けられます。
大は小を兼ねますので、あなたが使用している(将来使用する)フィルムの最大値に合わせて選ぶようにしましょう。
4x5フィルム対応引伸機は別として、120フィルムまで扱う引伸機が主流となります。120フィルムまでの引伸機は
67判までの対応が多いですので、68判や612判ですと4x5フィルムまで扱える引伸機が必要になったりします。
また、台上で引伸ばせる最大の印画紙サイズも確認しておきましょう。
・光源タイプ
大きく分けると集散光式と散光式に分かれます。(他にも集光式やコールドライトというのもあります)
集散光式は引伸機ヘッド内で光源をコンデンサーレンズを通して照らす方式でやや高コントラスな描写になり、
散光式は引伸機ヘッド内で光源を反射させ拡散版を通して照らす方式で若干低コントラストな描写になります。
昔は、集散光式=モノクロ、散光式=カラーという方向でしたが、今はモノクロ・カラー関係なく散光式が主流になって
いるような気がします。これはモノクロの印画紙が可変コントラストの多諧調印画紙が主流になったからでしょうか。
引伸機の中には、光源タイプをユニット交換(上記写真)できるものがあります。
なお、作業中に光源であるランプが切れるときもありますから、ランプの在庫はあらかじめ確保しておいたほうが良いでしょう。
カラー引伸機というものはヘッド部にCMYカラーを調整するダイアルが付いています。またモノクロ引伸機でも
多諧調印画紙を扱えるものにはヘッド部にコントラスト調整(00号~5号など)を行えるダイアルが付いています。
他に何もダイアルの無いモノクロ号数紙対応のモノクロ引伸機があります。
カラーもモノクロも扱いたいという場合は、引伸機のタイプによって下記2つの方法があります。
1) 引伸機ヘッド部を交換できる引伸機の場合(散光式の引伸機に多い)
この場合、カラー時にはCMYカラーユニットを付け、モノクロ時にはモノクロ多諧調ユニットを付けられますので、
カラー・モノクロ使用時にユニット部を代えるだけでプリントできるので非常に便利です。
なおカラーユニットは、CMY値を変えることでモノクロ多諧調にも対応できる色合いに発光することが出来ますので、
カラーユニットの付いた引伸機を買えばモノクロ多諧調ユニットが無くても、カラーもモノクロ多諧調もプリントすることが
できるようになります。
2) 引伸機ヘッド部を交換できない引伸機の場合(集散光式の引伸機に多い)
モノクロ号数紙対応の引伸機などではヘッド部ユニットを交換できないのがあります。
その場合にモノクロ多諧調やカラーをプリントしたい場合には、フィルタポケット(無い機種もある)にモノクロ多諧調用
フィルタおよびカラー用フィルタを挟んで露光する必要があります。フィルタポケットが無い場合にレンズ下に
フィルタを取り付けれるようにしたフィルタセットもあります。
ただ、多諧調コントラストあるいはカラー色合いを変化させるたびに、その都度フィルタ交換をしなくてはいけないため、
1) の引伸機よりも操作性が劣ります。
できることなら、1) のダイアル操作できる引伸機の方が個人的には良いと思います。
【ネガキャリア】
フィルムを挟んで引伸機にセットするフィルム固定機です。
ネガキャリア自身はその引伸機のサイズで一定なのですが、フィルムを透過する窓枠の大きさによって、135フィルム用
あるいは120フィルム用であれば645判,66判,67判のように撮影範囲に合致した窓枠サイズで用意されています。
構造は単なる素通しのもの・片面ガラスのもの・両面ガラスのものなどがあり、素通し→片面ガラス→両面ガラスの順で
平面性がよい状態でプリントできます。
私は135フィルムでは素通しのもの、120フィルムでは片面ガラスのものを使用しています。120フィルムはフィルムが大きい分、
露光の熱でフィルムの湾曲が頻繁に変わることが多く、その都度ピントを確認する作業が煩わしいというのもあるし、長い
露光中にフィルムが湾曲してしまうのが嫌で片面ガラスを使用するようにしています。
ネガキャリアは単純な構造です。でも、引伸機はあるんだけどそれにあったネガキャリアが見つからないときは、ガラス板2枚に
フィルムを挟んだものをセットすればとりあえず問題ないかと思う。但しその場合は、ネガキャリアをセットする隙間からの遮光を
完全に行うことと、ガラスをニュートンリングという干渉縞が発生しにくいガラス(アンチニュートンリングガラス)を使用した方が
いいです。
【引伸ばしタイマー/フットスイッチ】
引伸ばしタイマーは、引伸機での露光時間をセット時間で動作させるために使用します。
0.1秒刻みで動作するものを選べば良いでしょう。中にはAEタイマーといって投射された台上で露出を測って正確に
適正露出時間を割り出せるものがあります。(持ってるけど使ってない)
引伸ばしタイマーと共に使いたいのがフットスイッチです。これは露光開始のボタンを足を使ってできるようになっているものです。
机上には引伸機をはじめ色々配置していると思いますので、足元で露光ONが出来るのは非常に便利です。
【引伸ばしレンズ】
ほとんどの引伸機で使用できる引伸ばしレンズは、ライカL39マウントという規格で統一されています。
ですので引伸ばしレンズを買えばそのまま装着して使用することが出来ます。
買うときは、使用するフィルムカメラの標準レンズ相当の焦点距離を持つ引伸ばしレンズを購入します。
135フィルムであれば50mm、120フィルムであれば75/80mmになるかと思います。
メーカーによって描写が違うようなことを聞きますが、少なくとも有名メーカーで劣化していなければ私は違いがわからないです。
ただ、古く劣化したレンズでは描写が甘くなります。場合によってはそういうレンズを使っても面白いかもしれないです。
またどうしても最大引伸ばしサイズより大きい印画紙を台上でプリントしたい場合に、より短い焦点距離のレンズを使うことで
引伸ばせる印画紙の最大値を上げることが出来ますが、まぁ緊急的な処置という前提で考えた方が良いんじゃないかと思います。