PAGE TOP

印画紙へのスポッティングの用品と手順

♪ Troubled Water (by Aretha Franklin)
 −−− まさに後戻りできない点描画作業

スポッティング

プリント作業で印画紙上に写ってしまった【チリ・ホコリなど】はどうしますか?
全然気にしないよって方にはスポッティングの作業は必要ありません。
でも...そういう人も、チリやホコリは写って無いほうが良いと思ってますよね?
スポッティング作業は神経を使いますが、作業用品は少ないですし消耗品というほど量を使いませんので、 とりあえず用品を揃えて時間のあるときに暇つぶし程度に気軽にはじめてみませんか?
でも細心の注意を払って行ってください。失敗するとせっかくの写真が台無しになってしまいますよ〜。 チリやホコリの写って無いプリントで、あなたの写真をより完成に近づけましょう。


【スポッティング作業での用品】

・スポッティング塗料

スポッティング塗料

いろいろな種類のものがあります。スタンダードな液体がボトルに入ったものやペン型になったものなど用意されています。
まず、モノクロ用では温黒調から冷黒調までの数本セットになっているものを、カラー用では10数本セットに なっているものを選ぶことから始めるのが良いんじゃないかと思います。
モノクロでは入手が容易な墨を使ってられる方もいらっしゃいます。
印画紙がバライタ紙であれば塗料の染み込みも良いのですが、RC紙は塗料によって向く向かないが結構ありますので、いろいろと塗料を テストされてから始めるのがいいです。
(私がよく使用しているものは、Diary(2017.02.26)に記述しております)

・筆

筆

スポッティング作業では点描画することになりますので、丸筆の先が細く点になった「面相筆」というものを使用します。
サイズは極小である0号〜000号などのサイズのものが一番扱い易いかもしれません。 モノクロでは1本で事足りますが、カラーでは色の混合作業が頻繁にありますので複数本用意しておきましょう。
画材専門店でいろいろ見て自分に合いそうな筆を選んでください。
(私がよく使用しているものは、Diary(2017.08.02)に記述しております)

・パレット/(スポイト)/水/白手袋

パレットなど

パレットはどのような物でも構いません。モノクロならたくさんの色を使わないので梅皿なんか良いと思います。
パレットに残った塗料は再利用できますので、できれば蓋付きで埃が入らないようになったものが良いです。 あと塗料がスポイト付きではないときは、少量取り出すためにスポイトを用意してください。
また薄めるための水や印画紙を直接扱わないための白手袋を用意します。

・印画紙の切れ端

印画紙の切れ端

作業ではパレットの塗料につけた筆を直接印画紙上で作業することはまず無いかと思います。
まずは印画紙の切れ端を用意してその上で好みの濃さを調整してから、本番の印画紙上で慎重に点描画を行うことで失敗無く作業が 進められます。印画紙の切れ端は必ず用意しておきましょう。
私は良く似た印画紙ばかり使いますのでバライタ紙とRC紙の2種だけ用意していますが、特性の異なる(ベース色や印画紙表面状態など) 印画紙の場合にはそれらの分も用意しましょう。ちなみに、切れ端は暗室プリント時のついでに印画紙を定着処理だけして乾燥と裁断を して作ります。

・(ヘッドルーペ)

ヘッドルーペ

眼が良い人なら要らないかもしれません。私は老眼気味で近くのものにピントが合いませんので必ず使用しています。
プラモデル作業用ヘッドルーペに、拡大倍率の高いレンズ(2.5倍)を使用して作業していますが、非常に見やすくて重宝しています。

・(平行定規A2版)

平行定規

必要な用品ではないです、はい。でも作業机って綺麗になっているでしょうか?
暗室の机上だと薬品が染み込んでいる可能性がありますから、印画紙を直に置いて作業するのはどうも気分的に良くないです。
そこで私は製図で使用する平行定規A2版を使っています。大きさが小全紙(16x20inch)で作業するのに丁度いいです。また少し斜めに配置 にできるので作業がしやすくなります。
べつに平行定規である必要は無くホームセンターの化粧板などを使ってもいいし、必要なければまったく要らない用品ですので 必要なときだけの参考程度と思ってください。


【スポッティングの作業】

ここではモノクロバライタ紙に白点が出た場合のスポッティング作業を行います。 (六切(8x10inch)のテストプリントで行ってみます)
RC紙あるいはカラー用塗料でもまったく同じ作業で行います。
スポッティング塗料は透明塗料です。どういうことかといいますと、ベースの印画紙上の色にプラスして色が塗られるわけです。 塗料を塗った後に、同じ箇所に塗料を塗れば濃さもさらにプラスされるわけです。
ですのでスポッティング塗料の塗り方は、薄め薄めで何回か塗って満足いく濃さを得るようにすることが基本となります。
『薄め薄めで』ということを頭に入れておきましょう。
ではまずはプリントに失敗した印画紙を使って練習してみましょう。

1。パレットに塗料を入れる

バットに塗料

多く使いませんので、数滴パレットに落とします。
色は濃くなっていますので、水あるいは白塗料などで色を薄めて調整してください。
色合いが合わない場合も混ぜ合わせて色合いを調整します。(今回はモノクロなので色合いというほど混ぜ合わせることはないのですが)
私の場合は、セレンカラー1滴とニュートラルブラック3滴を混ぜて色調整をして、色を薄めるときに白塗料は使わずに水だけを使用しています。

2。印画紙の切れ端で調子を見る

切れ端に塗る

塗料を筆でとり、印画紙の切れ端に仮処理として塗ってみます。
筆の塗料をおおまかに拭い、垂直で点描画してみてください。そのときに、点描画の色の濃さがスポッティングで埋めたい色よりも薄くなっている ことを確認できるまで、拭いと点描画を繰り返してください。

3。本番の印画紙に点描画する

本番スポッティング

筆を垂直に持ち、スポッティング箇所にほんの少し筆先が触れるようにして点描画します。
そのときに筆先が曲がるほど力を加えてはいけません。(慣れればそうとは言えない部分もあるかとは思いますが...)
色が付いても薄め色になっているかと思いますので、何回か同じような動作をして満足いく濃さになるまで繰り返します。

4。乾燥します

スポッティング結果

スポッティング前後をマイクロスコープで拡大した結果です。(少し濃い目?になったかな)
乾燥するまで少し乾かして終了です。
どうですか、そんなに難しいものではなさそうでしょう?
コツは薄め薄めで触れるように点描画するにつきます。濃くしては駄目であることだけ心がけてトライしてください。


※黒点がプリントされてしまった場合
フィルムにチリやホコリがある場合には印画紙上はその部分が白くなってしまうので上記手順のように白い箇所に色をつければ良いのですが、 フィルムにキズがある場合やフィルムの不具合で未露光になってしまった場合には印画紙上は黒点として表現されることになります。
この意図しない黒点された印画紙を修正するにはどうしたらいいんでしょうか?
一長一短があるのでどれが良いか判断しかねるのですが、2)の方法ができる状態であれば私は2)の方法をするようにしています。
個人的に順位をつけるのであれば、『 2) > 漂白 > 削る > 不透明塗料 』の順番になりますでしょうか。(あくまでモノクロ印画紙での 順番で、カラー印画紙では不透明塗料で行っています)
めったに行うことは無い作業なのですが...

1)プリントされた印画紙を修正する方法
・漂白処理で黒点を薄くする
漂白では薬剤として【フェリシアン化カリウムとブロムカリ】を混ぜて使うことが多いです。
漂白した後はスポット部でかまいませんので定着処理をするようにします。
欠点はフェリシアン化カリウムが印画紙を薄い黄色で着色されます。炭酸水素ナトリウムを混ぜることで少し ましになりますが完全ではありません。セピア調色などをする前提であれば着色も気にならなくなるとは思いますが。
手軽にこの方法を使用するのであれば、漂白と定着が2本セットでペン型になったものが販売(海外通販)されています。(結構便利です)
・印画紙表面を削る
剃刀やリムーバーなどで印画紙表面を削ったあとに、通常のスポッティングを行う方法です。漂白処理よりは手軽なのですが、印画紙表面を 削るために、印画紙表面の調子が変わってしまいます。とくにグロッシーなどの光沢紙では光を斜めからあてるとそこだけ光の反射が 違っているので、どの箇所を修正したかすぐにわかってしまいます。
・不透明塗料を使う
不透明の塗料(不透明水彩絵具やポスターカラーなど)を使って黒点上をスポッティングするわけです。 ポスターカラーよりも乾燥の遅い不透明水彩絵具の方が扱い易いと思います。 ただこれも印画紙表面に塗料を盛るために、印画紙表面の調子が変わります。また色調整は透明塗料よりもはるかに難しいんですよね。

2)プリント時に黒点を作らせないようにする
(黒点の原因であるフィルム自体を修正する方法があるとのことらしいですが...どうやってられるんだろう?)
ここではフィルム修正はできないので他の方法でお話します。
黒点ってプリント作業したときに出来ているかどうかわかるかと思います。そこで、プリント露光時に黒点の位置に小さな紙片を置いて プリントをやり直せば良いという方法で、ようは覆い焼きを極小範囲で行うものです。
もちろんプリントされた印画紙は黒点部が白点になっているだけですので、乾燥後のスポッティング作業は必須になります。
紙片をできる限り小さくすることと、印画紙を露光する設置状態にして安全光下で黒点の位置が確認できること(これが結構見えづらいのですよ)が ポイントかと思います。
これは手間が掛かりますが、後処理を考えると一番楽な方法だと実感しています。
私はカラープリント時では暗黒状態で行うので、あくまでモノクロ専用の方法となってしまいますが...